対談:『ふるさと納税日本一、千代松大耕泉佐野市市長 X 村山祥栄』 (京都党 活動報告)

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対談:『ふるさと納税日本一、千代松大耕泉佐野市市長 X 村山祥栄』

対談:『ふるさと納税日本一、千代松大耕泉佐野市市長 X 村山祥栄』

対談:『ふるさと納税日本一、千代松大耕泉佐野市市長 X 村山祥栄』

村山祥栄
本日はふるさと納税日本一、市の名称の命名権、犬税などなど全国が注目するユニークな取り組みを続けておられる千代松市長にご登場いただいてお届けしたいと思います。もう、聞きたいこと一杯あるので、ジャンジャン聞いていきたいと思います。宜しくお願いします。
千代松大耕
わざわざ泉佐野までお越し頂きありがとうございます。こちらこそ、どうぞ宜しくお願いします。
村山祥栄
では、早速ですが、まず泉佐野と言えばふるさと納税!です。いや、ふるさと納税を日本に知らしめたのは泉佐野と言っても過言じゃないと思います。
千代松大耕
おかげで随分総務省に嫌われておりますが、おかげで昨年は500億円近いふるさと納税を全国から頂きました。日本全国のふるさと納税の総額が5000億円程度ですから、約10分の1が泉佐野ということになります。
村山祥栄
そもそも、どうしてふるさと納税に力を入れてこられたのでしょう?
千代松大耕
泉佐野は、平成に入って関西空港開港に向け基盤整備を相当しました。投資額は税収規模の10倍にも上ります。しかし、景気の低迷やりんくうタウンの成熟の遅れもあり、増加を見込んでいた税収も低迷し、気づけば財政健全化団体に指定されるという夕張市寸前のところまで転落した経緯があります。
村山祥栄
意外ですよね。関空のお膝元でてっきり豊かだと思っていました。京都と同じですね。観光で潤ってると皆さん思われがちですが、京都も財政危機状態です。ということは、なりふり構っていられない、抜き差しならないところまで来ていたということですか。
千代松大耕
そうですね。だから、できることを全てしないといけない。前市長も相当改革を続けてきました。平成16年からは補助金は大幅カット、公共施設は週休2日、手数料引き上げ、イベントの廃止、ピーク時1017人いた職員は現在470名です。当時は市民の反対デモが繰り広げられたぐらいです。
村山祥栄
給与カットも相当なさったと聞いています。
千代松大耕
給与も市長は40%カット、市会議員も今は10%ですが26年までは20%カットです。職員もお願いして8~13%とかなり無理を強いてきました。おかげで今は4~9%に抑えられるところまで来ました。
村山祥栄
それでも、ずっとですものね。京都市も同様に厳しいのですが、給与カットは最初の数年だけで、モチベーションが下がるとか何とかで、すぐにやめてしまいました。
千代松大耕
とにかく、財政が厳しいですから。逆に夕張市のようになると国の多額の支援が入ります。我々の様な一歩手前が一番自助努力を求められ、厳しいのです。
村山祥栄
なるほど。でも夕張のようにはなりたくない。そうした苦しみの中で、ふるさと納税が生かされていくのですね。
千代松大耕
ふるさと納税も最初は全然だめで、今でこそ5000億円まできましたが、潜在的市場規模は2兆4000億円ぐらいだと言われています。これは化粧品市場と同じぐらいの規模です。非常にポテンシャルが高いのです。せっかく国が用意してくれた制度ですからしない手はない。
村山祥栄
京都市はふるさと納税は常にワースト10に入る、出ていく方が圧倒的に多いふるさと納税後進都市です。市長に至っては、「京都は返礼品競争には与しない。」と断言し、結果、京都市民の住民税は他都市へ流出し大損しているのです。
千代松大耕
返礼品競争に与しない?それは違います。結局、それで損をするのは市民ですから。批判されても、それで市民に利益があって、町が潤えば私はいいと思っています。
村山祥栄
そこ、ブレないですね。徹底されていますよね。ちなみにどうして泉佐野のふるさと納税は二年連続日本一に輝けたのでしょうか。
千代松大耕
当市も最初の頃、返礼品は泉州タオル(日本第二の産地)や地酒、野菜、地元の温泉利用券などを用意していました。しかし、これでは伸びないのですね。結局、タオルが欲しい人以外は納税してくれません。そこで、地場産品以外のものでもいけるようにしました。肉や蟹など地元業者が仕入れる食材等も提供。もっといえば、人気が出るものは何でも扱いました。冷凍食品、おせち、布団、ビール。地元の業者を通して用意するので、それでも地元にお金は落ちていくのです。うちの強みは、幅広いカテゴリーと圧倒的点数です。ワンストップで全ての商品が揃います。
村山祥栄
確かに、皆さんお話を聞いていると、肉が欲しいから〇〇市、米は△△町、蟹は□□市とかなり分散して納税されていますよね。
千代松大耕
そこなのです。泉佐野なら分散させなくても全部揃います。これが強みです。結局、お目当てのものがないと納税してくれません。2012年1品だった返礼品を19品目へ増加し、納税額が三倍の2000万円になりました。翌年、さらに30品目に増加、この年に「ふるさと納税三種の神器」と言われる肉・米・蟹を投入しました。納税額は2.4倍の4600万円、全国55位にまでなりました。
村山祥栄
そこからですね。2014年、泉佐野に本拠地を置くLCCピーチ航空に搭乗できるピーチポイントがスタートしました。あれは正直ぶったまげましたよ。こんなのありかと。
千代松大耕
そこでさらに10倍になりました。泉佐野のふるさと納税が注目されるようになり、相乗効果もあり、地元産品も大幅にUPしたのです。だから、結局、地元にも大きく貢献した制度になったのです。
村山祥栄
結局、その後各自治体がこうしたポイント系の返礼品をどんどん投入していきましたね。しかし、よく思いつきましたよね。魚や野菜だと言っているときに。
千代松大耕
結局、あの制度は特産品が多い町と少ない町では差が出る。特産品のない町は勝てないわけです。そういう意味で不公平。ちょうど当時市の職員を民間研修でピーチさんへ派遣していました。そんなご縁もあり、関空の利用促進という目的もあり、導入に至りました。
村山祥栄
なるほど。思わぬ副産物が民間出向から生まれたのですね。ずばり、市長。ふるさと納税で勝つ方法は何ですか?
千代松大耕
一つはサイトにはキラーコンテンツがあること。ピーチがそうですね。次に純粋に種類を増やせば寄付額も増えます。それを繰り返して29年135億、初の100億円超えを達成し、 30年497億となりました。しかし、日本一になった29年にはそろそろ泉佐野潰しが始まるなと予見していました。
村山祥栄
泉佐野潰し?ひょっとして総務省ですか?
千代松大耕
そうです。大体、日本一になると総務省は潰しに掛かるのです。そもそも東京一極集中や地方の格差是正を掲げて2008年はじまったふるさと納税ですが、官僚は当初反対していました。そりゃ、交付税で地方をコントロールしたいのですからね。
村山祥栄
しかし、「ふるさとチョイス」ポータルサイトが登場し、2014年ワンストップ特例申請がスタートするとふるさと納税は一気に加速していきます。確かポータルサイトにも大きな影響を市長が及ぼしたとか。
千代松大耕
そうですね。サイトに成果報酬最大20%という大きなインセンティブを打ち出しました。そして、市場は大きく成長していきました。
村山祥栄
返礼品競争が問題視され始めるのもその頃からですね。      
千代松大耕
ふるさと納税が4倍になり、返礼品競争が過熱し始めると総務大臣が返礼率を明記することは好ましくないと通達、ポイントが過熱すると2016年金銭類似性のあるものを禁止する動きになります。返礼率の高い都城市が日本一になると今度は返礼率は3割に抑えろと通達がくる。その翌年、うちが日本一になると地場産品に限定しろという通達がくるわけです。
村山祥栄
私はこうした一連の総務省の仕方にかなり懐疑的です。地方分権の時代なんだから、各自治体は認められた制度の中で知恵を絞って工夫をして都市間競争せよというくせに、知恵を絞って色々な取り組みをしたら、順番に潰していくんですからね。だったら、最初からそういう制度にしておくべきでしょう。最近、泉佐野けしからんと総務省はネガティブキャンペーンを張りますが、泉佐野は何も悪いことしていないわけです。品があるかどうかは別として(笑)、財政破綻寸前の自治体が出来ることを精一杯したわけです。
千代松大耕
それ以上に問題なのは、2017年、総務省は返礼品3割規制を打ち出して、      各自治体規制方向で進んでいたところに野田大臣が突如「自治体にお任せするのが筋」と仰って、総務省は突如、規制をペンディングし、取り消しちゃうわけです。既に三割以下に抑えるよう各自治体は方向転換したのにです。当初、うちも三割規制に向け舵を切っていました。しかし、野田発言で、従来通りやろうということになりました。ここで、従った自治体とそうでない自治体に大きな差が出たわけです。総務省のいうことを聞いた自治体が馬鹿を見るという不幸が生まれました。
村山祥栄
本当ですよね。地方を翻弄しておいてあとは知らぬ存ぜぬですからね。しかし、泉佐野いじめはこの後ですよね。
千代松大耕
そうですね。泉佐野が日本一になったのは、全国各地の産品を扱うせいだと言って、地場産品規制をかけてきました。野田大臣なきあと、三割規制も再び復活し、総務省の言うことを聞かないとふるさと納税そのものの対象から外すと言ってきました。
村山祥栄
結局、思うようにならないと強権発動ですよね。さすがに、私もこのニュースは頭に来ました。させるだけさせといて、思わぬ方向に走ったら無理やり納めにかかるという。結局、地方は国の言うことを聞いてりゃいいんだと。大体、私はこのふるさと納税の制度自体がおかしいと思っています。当初の趣旨は、ふるさとへ恩返ししたいと言ってはじまったのに、誰も寄付しないから返礼品はじめたわけですよね。でも返礼品始めたら返礼品競争になるに決まってるじゃないですか。しかも、そもそもA市にある100ある税金をB市に持っていって、50が返礼品になれば、A市は50減って、B市は50増える。でもトータルでは50減る。その減った分の大半は国が補填する。でもその補填自体が税金ですからね。実はただ税金を返礼品に代えて還元しているだけというただの高所得者優位の還元セールなわけです。
千代松大耕
制度の是非はともかく、国のこの対応はさすがに酷いということで、2018年9月東京で記者会見をしました。地元産品を持てる者と持たざる者の差についてどう考えているのかということです。こういうことをしていたら、自治体のモチベーションも下がる。
村山祥栄
よく仰いました。とにかく総務省は自分たちが偉いと思っている。都合のいい時だけ地方分権だと言って、腹では自分たちの言うことに黙って従えと思っていますよ。何が権限と財源移譲だと言いたいですよ。でも大抵の自治体は国に言われたら黙って従う。でもこれじゃ、地方分権は進まないですよ。その点、さすがでした。
千代松大耕
そう仰っていただくと有難いですが、特別交付税2億円減というペナルティーを喰らってます。さらに新制度導入で、国がふるさと納税対象自治体を指定、泉佐野は除外されました。でも、譲れないものがあります。やっぱり誰かが問題提起しないとダメなんです。
村山祥栄
そうです。言いなりの首長しかいなければいつまでたっても国の言いなりです。やっぱり権利、権限は貰うものではなく、勝ち取るものです。そういう意味では同じ大阪の橋下元知事の取り組みと通ずるものがありますね。具体的には何を問題視されてますか。
千代松大耕
問題は3点です。ひとつ目は、経費50%問題です。総務省は返礼品、送料、手数料、委託料など合わせて50%以下に抑えろと言ってきていますが、例えばうちの場合、返礼品を30%に抑えても送料10%、手数料10%、委託料5%、その他経費5%で60%はかかります。半分は地域活性化のために使われるべきということですが、返礼品三割規制と経費50%はそもそも現実的なルールじゃないということです。
村山祥栄
要は3割より下げていけということですね。総務省らしいですが。
千代松大耕
ふたつ目は地場産品問題です。何度も言いますが、地元産品がある街とない街の差をこれでは埋められない。そういったら、県内の産品で、生産地のある自治体に了解が取れればOKということになりました。でも、現実的じゃないですよね。その地元産品で自分の街にふるさと納税させたいですよね。自分のところの産品を使って隣の街がふるさと納税してたら、当然その分自分の街へのふるさと納税が減っちゃうわけで、なかなか合意形成が取れません。
村山祥栄
確かに。宇治市に宇治茶、京丹後市に間人蟹を京都市で扱わせろと言ったら、嫌だと言われますよね。うちにはこれしかないんだって言われますよね。
千代松大耕
そして、最後は総務省の気に入らないものは除外する指定制度問題です。嫌われたら最後、うちは来年からふるさと納税できないのです。そもそもこれは、そういう制度ではないはずです。
村山祥栄
本当にその通りですね。しかし、こうして国にしっかりと声を挙げることには大いに賛同します。泉佐野市では関空の連絡橋が民営から国有化された際も、その分の固定資産税が入らなくなるといって、連絡橋税を導入されました。その時も、もともとは国がその分補填するという約束を反故にしたから導入されたと伺っています。
千代松大耕
その通りです。我々も好きで国の方針に逆らっているわけではありません。ふるさと納税も3割規制に従おうとしたのに国が直前で方向転換しいたずらに混乱させていきました。連絡橋も補填する話が反故になってしまったので、やむなく連絡橋税を使って空港関連整備費を捻出しました。筋が通らないものは戦うしかないでしょう。
村山祥栄
そ、その通りですね。すごい気迫(笑)千代松市長にはこれからも戦う首長として、地方の範を示し続けて下さる事を期待しております。時間が大幅に過ぎておりますので、本日はこれにて締めたいと思います。ありがとうございました。